H28.5.20

炎天下の中
無謀な遠出をして
疲労困憊になった
車の中で
おとしよりたちと
食べる
アイスは
いつも最高だ

H28.5.17

話していないと
すぐに帰ってしまう
おばさんに
はじめは
何を話そうかと
少し億劫な気持ちで
お付き合いして
三年が経ち
気づけば
誰にも言えないような
抜き差しならない
じぶんのことを
まっさきに
相談したい
大切な人に

H28.5.10

だれともいたくないと
二年前は
一人の和室で
電気も消して
ほとんど横になっていたな
そういえばと
目の前で
他の二人のおばあさんと
口汚く
罵り合っている
そのおばさんの姿をみて
微笑ましく
思い返せたら
いいのに

H28.5.9

好天続きのあとの
雨模様だったので
おそらくそうだろうなと
思っていたけど
やっぱり
誰もが
よく眠る
一日だった

H28.5.8

家族で
奈良の山奥の公園へ
行った帰りの道すがら
どこかわからない集落の
小さな古びた家に
赤ちゃんをあやす
若い夫婦の姿を
みかけたとき
当たり前のこととはいえ
じぶんの知らないところで
じぶんの知らないひとたちが
それぞれに暮らしている
というだけで
なぜか動揺してしまった

H28.5.7

そちらでは
いつもご飯をたくさん
食べてくるので
ほんとうに
おいしいものを
作ってくださって
いるのですねと
おばあさんの小食に悩む
ご家族からの
連絡帳のことばに
実は
味の善し悪しというより
お世話好きのおばさんが
その日来ているかどうかで
おばあさんの
食べる量が
まったくちがうのですよと
返事を書こうとしたが
やめて
ただ
ありがとうございますと
だけ書いた

H28.5.6

あの頃はよかった
そんなときが
振り返っても
ひとつもないというのは
そういえば
なにも変わってないなと
あのときもそうだったと
そう思えると
いうことは

H28.5.5

職員のみなさんも
小さなお子さんが
いる方ばかりなので
この連休中
3日ほど
嫁と子供とお年寄り
という面子で
過ごさざるえなくなり
来ている方々と
そのご家族も含め
力を合わせて
なんとか一日を
無事に終えようという
不思議な団結力が芽生え
子どもたちも
そんじょそこらの
アミューズメントを
遥かに凌駕する
スリルを味わったと
そういうことに
したいのに
来年こそは必ず
黄金の連休をと
去年も言っていたことを
どうしても
思い出してしまう

H28.5.3

ある意味
一番の
要介護状態だった
生まれたての息子が
2歳半になり
保育所に8ヶ月通った結果
久しぶりに来たデイの場で
その場にいる誰よりも
介護職として
活躍をするなんて
あの頃のじぶんに
教えてあげたい

H28.5.2

一日中
歌い続ける
おじいさんが
いるので
こんなに
暑い日でも
窓を閉め切りに
していたから
一足先に
凡は真夏

H28.4.28

おしゃべりのおばあさんが
その場にいると
怒ってしまう
おばあさんが
毎日来ているので
もちろん
女性は基本的に
おしゃべりなので
そのおばあさんが
怒らないように
おしゃべりの方々の
居場所を
おばあさんの動きに合わせて
その都度移ってもらう
という
歩行訓練
そういうのだめですか

H28.4.26

毎度繰り返される
そのおじいさんの昔話も
一年もたつと
ぼくたちや他のおとしよりが
聴きやすいような
話にいつのまにか
少しずつ変わっていて
つまりは
週三回一年間
いまここにいる
ひとたちのあいだにだけ
腑に落ちるような
そのおじいさんの過去を
皆で手作りしてきたということ
それが嘘か本当かなんて
それはおまえ
あれだぞおまえ
野暮野暮野暮♡

H28.4.25

昼下がり
僕以外の
三人のおばあさんが
うとうとし始め
ついには眠ってしまうと
こんななんでもない
平屋の八畳の和室で
おおらかな自然に
包まれたかのよう
この後その自然が
猛威をふるうまでの
つかのまの時間の

H28.4.22

出会って4年になる
いつもは無口な
おばあさんに
帰りの送迎の車中で
不意に
「ところで
おたくさんは
誰ですか」と
尋ねられた時
すぐに応えることが
できなかった

H28.4.21

ひとりよがりに
なりたくないから
書く
ことばにしたことだけが
経験となりうるのなら
おなじことのまわりを
ぐるぐると
まわりながら
なんどでも

H28.4.20

ひととひとが
なにもないまま
そばにいて
あいてのことを
気にかけないでいる
ことのほうが
むずかしいみたいなので
あらゆる「あらかじめ」を
いったんやめた

H28.4.13

あなたはそこで
なにをしているのかと
問われたら
「家族」をしているのだと
こたえる
誰としているのかと
問われたら
一緒にいるひとたちとと
こたえる
どんなひとたちなのと
問われると
なんでも聞き流してくれる
ひとたちだと
こたえる
とりあえずは

H27.1.23

仕事終わり
珍しく職員と
立ち話をしていて
「こんな感じの毎日が
ただ続けばいいと
思っている」
ということばが
思わず口をついて
出たことに
そうなんやと
我ながら驚く

H27.1.22

まさかのこの冬二回目の!
子供のインフル騒動で!
実は今夜で四泊目!
職場で一人で節電で!
寒くて暗い部屋のなか!
まんじりともせず寝ていると!
ばっちり絶望できるので!
そんな方にはおすすめdeath!!!

H27.1.21

凡に通いだして
二年になるおじいさんに
ベッドからの起きしな
「メガネどこいった」と
聞かれたので
「いや、鼻に掛かってますよ」と
返事をしたら
「うはっ」と
初めて声をあげて
笑ったので
楽しい気持ちになった

H27.1.20

ほんとうに
こんなことが
したかったのかと
思ってしまう日も
もちろんある

H27.1.19

虫歯の痛みで
昨夜一睡もできず
どうなることかと思ったが
午前中から
次々と体調不良により
パタパタとみなが倒れ
昼食時には
ひとりのおばさん以外
うちの娘も含め
みんな寝ているという
なかなかの状況に
なったお陰で
なんとか一日を
終えることが出来ました

H27.1.18

みたことも
ふれたこともない
「誰か」からの
要請には
今後
一切
応じない

H27.1.17

楽天的な啓蒙や
過激なロマンが
胸のうちに
湧き上がっては
へし折れて
いいかげん
何もかもに嫌気が差し
だからとて
妥協や調和が何よりと
「目に見える現実」に
擦り寄ってみても
日々は腐臭にまみれている
たまたま介護を生業とした
十五年前も今も
そしてこれからも
目の前の風景は変わらない
だこらこそ
やろう
まだやろう

H27.1.16

二人のおばあさんは
入院してるひとのお見舞いに
二人のおばさんは
それぞれの理由で
スーパー銭湯に
もう一人のおばあさんは
凡でお風呂中
ぼくはといえば
さっきお風呂を手伝った
おじいさんが寝ている
ベッドのよこで
昼ごはんの野菜を刻む
コンコン
という音を聞きながら
ウトウト

H27.1.15

みなで談笑していて
おばあさんが
うっかりトイレを
失敗したが
その場にいる
すべてのひとたちが
それをなかったかのように
さりげなく振舞おうと
しているとき
大切な何かが
信じるに足る何がが
みなのあいだに
ぼんやりみえた

H27.1.14

痰の絡みの
ひどいおばあさんが
咳をする度に
おどろき
ついには怒って
つかみかかろうとする
おじいさんも
一年前には
おなじ状況で
誰よりもやさしく
咳をするそのひとを
気遣ってくれていたと
思い出したとき
ほんとうに
さみしいのは
いったい
だれなんだろう

H27.1.13

プライドが高くて
人付き合いが苦手だと
事前になんども
聞かされていた
おばさんが
エサ箱の骨をとると
いきなり噛み付いてくるという
犬のおもちゃを
風呂帰りのおばあさんの
座席の前に
こっそり仕掛けて
おばあさんが
びっくりするのを
今か今かと目を輝かして
待ちわびている
その顔をみながら
まあそんなものだけど
女性はほんとうに
こわいなあと
しみじみ

H27.1.12

昼ごはんのあと
おもむろに玄関に向かった
おじいさんに
家に帰ろうと思ったのではなく
トイレに行こうと思ったと
思い違いしてもらおうと
いやらしい期待をしながら
一旦トイレに座ってもらい
そのままいっしょに
元いたソファに帰って
ほっと一息ついて
隣に腰掛けた
そのときに
ことばにならないつぶやきが
きこえはじめ
それがある瞬間
「ちきしょう」と
聞こえてしまったので
おじいさんが帰るまで
その場から
身じろぎできないまま
うごけないまま

H27.1.11

床に散らばった
小銭を数えるために
下を向いてばかり
いるあいだにも
よくいきるための
手がかりは
目の前を
通り過ぎていく

H27.1.10

ぼくとあなた
おたがい
どこまでいっても
ちがうものどうしが
いっしょにいようと
するとき
たいせつなのは
寛容さではなくて
またちがう
べつの誰かが
そばにい続ける
ということ
らしい

H27.1.9

結婚記念日は大丈夫やった?
記念日は大事やよ
あそうそう 
うちも結婚六十周年を迎えたの
温泉でも行こうかと
思っていたけど
お父さんこの調子じゃね

いつものおじいさん
一昨日元気なかったけど
大丈夫でした?
そう良かった
あ そう
六十周年なんてすごいですね
あら そうですか
それだったら
このあいだお母さん連れて行った
温泉がいいと思いますよ
詳細メールしておきますね

あ おかあちゃん?
なんか温泉ええとこ
あるらしいで
でもひとつだけお願いが
あるんやけど
うちの家族も一緒に
行っていい?
嫁さんが誕生祝い
旅行がいいって言うてんねん
あ そう

ありがとう

H27.1.8

名前もなにも
まったく分からないし
お互い教え合っても
すぐに忘れてしまうのに
すぐに忘れてしまうから
穏やかな午後

H27.1.7

おじいさんの
トイレのお手伝いを
していたら
どこで言い含められたのか
今日は
ぼくの嫁の誕生日で
且つ結婚記念日で
あるらしいことを
なぜか怒り口調で
聞かされるが
なにはともあれ
すっぽかすという
最悪の事態は
免れた

H27.1.6

長男がまだ冬休みで
久しぶりに凡で過ごしたが
ほぼ一職員として
扱っていることに
途中で気づくも
特にどうということは
なかったので
そのままこき使った

H27.1.5

正月明けて
どうかなと気を揉んでいた
おじいさんが
やっぱり元気が無く
車に乗り込んだ後も
ぐったりしていたので
今年一年もうだめかも
くらいのきもちに
なっていたとき
電線工事のガードマンが
大きな赤い「止まれ」の旗を
軽やかに振っているのが
目に入ったので
「闘牛士か」と
つぶやいたときに
「ぐはは」と
おじいさんが笑ったので
今年もいける
おれはやれる

H26.12.23

帰りの送迎で
ある場所を通るとかならず
「家まで大分遠いなあ」と
いつも言う
出会って半年の
おばあさんが
今日はじめて
「案外近いもんやな」と
言ったとき
とても嬉しかった

H26.12.22

目が覚めて
窓の外が一面
雪景色なとき
やったと興奮したことが
じぶんにもあっただなんて
にわかに
信じられない

H26.12.21

取るに足らない
ことばかりが
思い出されるときは
うどんが
食べたくなる

H26.12.20

たまにしか会わない人と
話したあとはいつも
今じぶんが
なにをあきらめて
なににしがみついているのか
なんとなく
分かるのがいい

H26.12.19

思ったより
日差しが出てきて
寒さが和らいだ頃
四人のおばあさんの
誰からともなく
散歩に行こうと
言い出したのに
公園に着いた途端
寒いから帰ろうと
例のごとくやいやい
言い始めたので
しばらく無視していたら
一緒に来ていた赤ちゃんに
「寒いなあ。風邪ひくなあ」と
ぼくに聞こえるように
言うのはほんとうに
ずるいと思う

H26.12.18

おやつのあと
すこし部屋の空気が
殺伐とし始め
次に何を口にしても
ろくな結果にならないと
分かっているので
しばらく黙っていると
急に目の前のおばあさんが
「キムタクって知ってる?」と
聞いてきたから
ぼくの完敗