H24.8.3

あれだけ繰り返したおなじみのことなのに、なんどもなんども確認してしまう。送迎車に乗り込みキーを回す。これも何度も何度も繰り返してきたことなのに、なにか足りていない気がして、なかなかアクセルを踏む気にはなれない。時間が来てしまったのでやむなく家へと車を走らせる。本当に来てくれるだろうか。昨日の夕方、電話で確認したはずなのに、どうにも自信が持てない。玄関について、チャイムを押して、そしてそのあとどうしたら良かったっけ。あれだけ繰り返したおなじみのことなのに、まったくやり方が分からない。そうこうしている間に家の前までたどりついてしまう。どう挨拶したらよいか、でもどう考えても「おはようございます」しかないよな。声の大きさはどれくらいがいいのだろう。玄関に向かいながら、そんなことを思いながら。台所の前の窓が開いていて、そこから準備をせかす奥さんの声が聞こえてくる。なだめすかす娘さんの声も。今から人の家にお邪魔するんだ、他人事のように思いながら、おそるおそるチャイムを押す。「はい」と返事がある。下を向いて無理に作った笑顔がひきつってじんじんするのが分かる。ドアが開く。思わず息を飲む。その瞬間聞こえてきた「おーっ」という声に自然と顔があがる。そこには、ぼくが凡ではじめて出会うおじいさんの顔があった。その顔が少し笑ったように見えて、ぼくは今どういう顔をしているか、やっと気づいた。ついにひとに出会えた。嬉しかった。

という訳で、いよいよ凡は始まりました。この4ヶ月、いろいろと思うことはありましたが、今となってはすべて忘れました。とにかく今は、感謝の気持ちしか自分のなかには見当たりません。ぼくはたくさんのものをたくさんのひとたちから、掛け値なしに頂きました。今度はぼくが、これから出会う人たちにお返しをする番だと思います。少しずつでも。ひとまず、ここまでいろいろと応援してくださった方々に。本当にありがとうございました。頑張ります。